エクシスを設立してからも社員を雇うことはなく、それまでと変わらず一人でやっていました。ピーク時でもアルバイトを含めて 3名程。アルバイトを雇っているときは、他のHP制作や、家庭教師の紹介サイトを東京で売り込みするなどをしていました。

その過程で気づいたことがあります。

それは、お客様が興味をもたれているのはサイト自体ではなく、その集客の仕方だということ。

当時 SEOはすでにありましたが、そのころのSEOというのは、表示順位に関係なく料金が発生するというものでした。検索エンジンの表示順位を上げるのがSEOの目的なのに、成功しなくてもお客様が料金を払わなければならない料金体系はおかしいと思いました。家庭教師紹介サイトと同じく、おかしいと思ったところにビジネスチャンスがあります。ものの1秒も考えるまでもなく、「この事業も絶対に成功する」と確信し、早速成功報酬型SEOの販売を始めました。

そして 2002年6月、初めてSEO案件を受注しました。

初受注を皮切りに、効果が認められた時に料金を支払うというわかりやすさがお客様に受け入れられ、 SEO事業は伸び始めます。そして事業拡大に伴い本社を東京の西五反田に移し、2003年11月には渋谷区の道玄坂に移転。同年の12月には、株式会社エクシスへと組織変更をしました。

2004年から2005年には、営業手法の見直しを行うことで事業を拡大しました。Google,Inc.と代理店契約を締結する一方、直販営業も強化。これらの戦略が功を奏し、売り上げは確実に増加していきました。そうして社員数が増えるに従い、上場（IPO）を意識するようになるのです。

フルスピードとしての新たなスタート。そして上場準備

2005年7月、株式会社エクシスから、株式会社フルスピードに社名を変更しました。

社名変更したのは、その頃社員が 30名ほどになり、もっとスピード感が欲しいと思ったからです。また、“クシス”が発音しにくかったという単純な理由もありました。

フルスピードに社名変更したことをきっかけに企業理念を作成し、新たな目標が生まれました。

それは、せっかくやるならナンバーワンを目指し、妥協することなく「世界一の企業になる」というビジョンです。そのためには、上場は必要不可欠なステップだと考えました。同時に、事業的にライバル会社である企業が軒並み上場をしていたことも刺激になりました。「会社は人がすべて」と考えているので、上場・未上場といったところで人材採用に不利になることは避けたかったのです。

こうして上場への準備を進める間、 2006年にはYahoo！社が提供するキーワード広告、オーバーチュアと代理店契約を締結し、2007年5月にはオーバーチュア推奨認定代理店へ昇格。これにより、リスティング広告はSEOに次ぐ第2の収益源となるなど、順調に成長を続けました。

そして同年 8月、東京証券取引所マザーズに上場することができたのです。

上場準備が約 2年という非常にスムーズな上場でした。しかし上場審査が厳しくなっていたころでもあり、予算計画は特に厳しく、数字実現の根拠に関してとことん考え抜いた経験は、予算管理のスキルを磨くとてもよい経験になったと思います。

そして今、社員数は 180名を越えるまでになりました。

100名の壁とよく言われますが、気づいたら180名になっていたという気がします。苦労というわけではないですが、やはり社員数が30名の頃と、180名では圧倒的に違います。30名の頃は、社員の変化に気づいたらケアをすることができましたが、今は当時のように一人ひとりの変化に気づくことは難しく、自分がケアできないというところにジレンマを覚えるのも事実です。

私が日々考えているのは、社員のみんながいかに誇りを持って働ける会社にできるかどうか。「世界一の企業になる」というビジョンとともに、どうせやるなら世界一の企業を作りたいと考えています。社員にとって、会社にいる時間は一日の中で非常に長い。それなら、会社にいる時間が幸せに感じられたら、きっと人生も幸せだと思うのです。

だから私の仕事は、社員のみんながいかに働きやすい環境にしていくかが、もっとも大切な仕事だと考えています。

次回の更新は2008年7月30日を予定しております。