日本に呼び戻されて 2年。引き続き新規事業を探す仕事をしていた私の元に、あるオファーがありました。「大手電機メーカーが集まった“ベンチャージョイントプロジェクト”として設立された会社で、プロジェクトトリーダーをしないか」というものでした。決意を固め、日本AT&T株式会社に初めての転職をしました。しかし、1年で2度目の転職をすることになります。

ニュージャージーでセガの役員と会食をした際、もともとコンテンツビジネスに興味があったこともあり、とても話が合い、「ウチに来ないか」と声をかけていただいたのです。「セガにいけば、そこから独立という選択肢もできるかもしれない」と考え、お世話になることを決めました。

セガでは、事業部長として新規事業を手がけました。 5人の部下と共に、パソコン事業の全世界同時立ち上げを行ったのです。もともと「給料で飼われるのは嫌だ」と残業をしないタイプの人間でしたが、打って変わって平日は終電、土日はどちらか出社の毎日を過ごしました。がむしゃらに働いた結果、やがて新規事業は軌道にのり、私はネットワーク事業部へ異動になりました。

それから、ちょうど 4年経った頃、転機が訪れました。大手ベンチャー企業の子会社がたたまれることを耳にしたのです。その子会社の立ち上げを手伝ったことがあった私は、その会社の社長に直接、「たたむなら譲ってくれないか」と交渉をしに行きました。この出来事は、「経営者として事業をやるまたとないチャンス」だと感じたのです。こうして譲り受けたのが、今のサイバーフロントの前身です。

サイバーフロント設立。

1998年、サイバーフロントは誕生しました。設立メンバーは、大手ゲームメーカーで新規事業を一緒に立ち上げたあの5人のメンバーとアルバイト2人の7名です。

譲り受けた会社のため、もともとソフト資産はありました。設立手続きの煩雑さなどはありましたが、前回の新規事業立ち上げと比べれば、楽と言って良いくらいだったかもしれません。

ゲームのパブリッシャーは、最初に投資をしてしまえば、あとは短くて 4ヶ月、長くて1年半の期間をかけて資金を回収していきます。このサイクルを繰り返しながら、コツコツとお金を貯めては投資を続けました。

立ち上げ当初は、恩師に大変お世話になりましたね。ビルを借りるにしても、機材をリースするにしても、お金を払えるだけでは貸してもらえません。その時に保証人になってくれたのが、ある会社の社長をしておられた方です。本当にありがたかった。他にも経営の相談に乗ってくださったりと、今でも何くれとなく目をかけていただいています。今の自分があるのは、その方のお陰だと思っています。

業績が伸び出したのは、 6期目に入った頃です。銀行から資金の融資をしてもらえるのは、設立から5年後。当社の1期目は変則決算だったため、銀行の借り入れが可能になった6期目から飛躍的に業績が伸びていきましたね。設立3年目には、取引企業の倒産から危うく連鎖倒産の危機を迎えたこともありましたが、今は安定的に成長を続けています。

こうして、一つひとつ実績を積み上げてきたサイバーフロントは、開発会社を 2社とポータルサイトを1社持ち、企画・開発・販売・プロモーションまで、それぞれの柱を事業化し、グループで250名の規模にまで成長しました。企画から販売まで一貫して行える稀有なメーカーとして、日本のゲーム業界で存在感を増しています。

現在、最も力をいれているのは「携帯ゲーム配信」「ポータルサイト」最近買収したドリームスに付随する「海外事業」の 3つです。

次回は、これら 3つの事業を紹介します。

サイバーフロントが今最も注力する 3つの事業。そして、メッセージ。