2004年７月にオープンした価格比較サイト「ECナビ」。
現在は会員数約200万人の「ECナビ」事業をベースに、Yahoo!ニュースと提携しているソーシャルブックマークサービスの「Buzzurl」、サービス比較サイト「オールナビ」など、子会社事業や海外事業を含め計７事業を手がけています。

設立当初は懸賞広告のポータルサイト「MyID」を中心に展開していましたが、「ECナビ」に主力を転換したことをきっかけに、2005年10月社名変更。株式会社アクシブドットコムから株式会社ECナビになりました。

それまで主力事業だった懸賞サイトから「ECナビ」への思い切った転換は、社内全員大反対のなか１人ひとりに説明し、納得してもらうところからのスタートでした。
たとえ周りから大反対されたとしても、自分ができると思っている限り、どこまでも可能性は広がる。これは私が今まで幾度となく転機を迎え、それを乗り越えてきた過程において一貫して言えることです。

このことを最初に痛感した出来事は、学生時代に遡ります。
それでは、私がECナビを起業するまでの経緯を、学生時代からお話しましょう。

――住み慣れた名古屋を離れ、東京の大学へ。

３歳まで神奈川で過ごした私は愛知県へと住まいを移し、名古屋市の三好町という家の前に田んぼが広がる町で子供時代を過ごしました。思い出といえば、秘密基地作りをはじめ、どれも遊んでいることばかり。小中学生時代はバスケやサッカーに打ち込み、漫画やゲームも大好きな少年でした。本を読むことも好きで、その頃によく読んだのは、山本有三の『路傍の石』や花登筐の『あかんたれ』です。共通して言えるのは、立身出世物語だということ。努力して成長していく姿への憧れが、その頃からあったのかもしれません。

中学２年生の時、初めてパソコンを触りました。当時はインターネットはもちろん、パソコン通信も無い時代。プログラミングを組むことにも挑戦してみたのですが適性をあまり感じず、近所にあったレンタルゲームソフト屋に通っては、色々とゲームを借りて遊んでいました。

高校は進学校に進み、医者や地元企業の経営者の子供たちが学友でした。高校2年生の時にはワープロを使ってパソコン通信をしていたので、そういった環境が親から与えられている自分を恵まれていると思いましたが、一般家庭に育ったので「周りの学友たちとは違うんだ」という意識はありましたね。

地元の大学に行かなかったのは、名古屋がとても住みやすい町だったからです。だからこそ、飛び出して挑戦してみたかった。見知らぬ地で自分を試したかったのです。

早稲田大学に入学し、テニスサークルに入部した頃は「自分の人生けっこううまくいっているなあ」なんて感じていました。
しかし、入学して２ヶ月ほどしてから転機が訪れました。
浪人時代から付き合っていた彼女との間に、子供を授かったのです。

――学生結婚をきっかけに、「自分の人生は自分で切り拓く」と決意

結婚して子供を育てようというのは２人の間ですぐに決まり、19歳だった私たちは学生結婚をしました。
周りの友人からは「何とかなるわけないじゃん」と言われ、両親も助けてくれましたがもちろん田舎にいるため、実質学生２人でどうにかしていかなければなりません。
毎日、子供を保育園に送ったあと、バイトか学校に向かうという生活。子供がいるため残業ができないなどの制約があり、自分がやりたい仕事を選ぶことはできませんでした。バーの店員、事務、弁当売り、引越しバイト、医学ボランティアなんかもやりましたね。この話だけを聞くと大変そうだと思うかもしれませんが、私たちは楽天的に「どうにかなるや」とやっていました。そうこうしているうちに本当に何とかなって、私も妻も無事に大学を卒業することができました。

学生結婚をしたことが、高校の時に感じた時よりもはるかに強く「自分の人生は、自分で切り拓いていかなければならない」という思いを強めるきっかけになりました。そして、「いずれ事業を興したい」と考えるようにもなりました。

そこで就職活動では、事業を興すのに一番近い職業だと感じた経営コンサルタントを目指して活動しました。だから大学２・３年生の頃は会計の勉強をしていたこともあるんです。ただ、自宅に送られてきた就職情報誌を見てみると、コンサルティング会社の募集要項に会計士資格必須という明記がなかったので、もしかしたら必要ないのではということに気付いて止めてしまったんですけど（笑）。

そうしてコンサルティング業界に絞って就職活動を行った私は、トーマツコンサルティングに入社することになりました。

第２回　コンサルティング業界からソフトウェアベンチャー企業への転職。そして起業へ