営業アウトソーシング事業の開拓へ。
1989年、リクルート時代の同志と4人でエムエム総研を設立。私は31歳で念願の社長となったわけです。
私の起業の目的は「この事業がやりたい」ということではなくて、「社長になって独立する」というところが大きかったので、設立当初、事業にはあまりこだわりはなかったんです。なので、初めのうちは社員の会社満足度調査を行い、そのレポートを経営層にフィードバックするというサービスを販売していました。
しかし、バブル崩壊の影響から人材サービスに陰りが見え始めたため、思い切って事業転換に乗り出します。倒産だけは何としても避けなければなりませんからね。
そこで始めたのが現在の営業コンサルティング事業です。2000年から開始したアウトソーシング事業は、その手法の一つとして生まれました。
アウトソーシング事業を始めたのは、7、8年前にニューヨークを訪れたことがきっかけとなります。その時に、「日本では、みんなで作ったものを一人の営業マンが売る。アメリカでは、一人の天才が作ったものをみんなで売る。」という話を聞いて衝撃を受けました。アメリカでは、新規顧客へのアプローチを行うのが委託先のテレマーケティング会社、そこで作成された企業リストを使って営業を行うのが自社の営業、契約した企業からの問い合わせやフォローを行うのが営業以外の別のチームというフローになっていた。
つまり、科学的理論に基づいて営業の分業化を行い、アプローチからユーザーフォローまでを効率よく実行するというわけです。例えて言うなら、野球のピッチャーが 先発⇒中継ぎ⇒抑え と登板するのと同じですね。
日本の営業は、先発ピッチャーが最終回まで登板する営業スタイルがほとんど。なぜか、完投できなければ投手失格と言わんばかりの風潮があるんです。現代の野球と同じで、プロセスに応じて役割分担を行う必要があるんですね。
また、世の中の採用動向を見てみると、採用ニーズがもっとも高いのが営業職です。でも悲しいことに、それに反比例するように他の職種に比べて人気・定着率と共に低いのが現実…。需要と供給のバランスを保つのが難しい職種と言えるでしょう。また、企業が新しい画期的な技術やサービスを生み出しても、営業面がうまくいかないと事業そのものが失敗に終わってしまう。
私たちが現在力を入れている営業アウトソーシング事業は、こうした問題点を解決することを目的としています。エムエム総研が“先発”部分を引き受けるアウトソーシングサービスを行い、営業の分業化を実行します。これにより企業は、ムダな労力・コストを使うことなく営業機会を創出できるようになるのです。
このビジネスにおいて私たちは、パイオニア的存在であると思っています。
次回は「営業を科学する」について、お話していきたいと思います。
【第3話】キーワードは「営業を科学する」
株式会社エムエム総研
代表取締役CEO 萩原張広