転職を決意して上京した私が次に就職したのは、 30 名ほどの会社でした。実はここには 1 年弱しかいなかったのですが、ここを退職するきっかけから生まれたのが 2 つめのコンセプト“努力次第で希望する仕事に就け、実力次第で昇給・昇進ができる会社”です。

この会社では、賞与査定時の社長面談でいろいろと希望を伝えたのを覚えています。今までひたすらプログラムを組んできたので、そろそろ設計をやってみたいということや、 2 〜 3 年の SE 経験後はサブリーダーを経験してみたいということ、営業もやってみたいということなどでした。

社長は、私が考えていることについて非常に共感を示してくれ、「よし、わかった！」と言ってくれたので、私も今まで以上に一生懸命がんばりました。

しかし！　一向に私の希望が受け入れてもらえる様子はなく、それに対する理由の説明もありません。私からもアプローチしてみたのですが、ミーティングの約束をしても破られてしまい、そのことについて抗議をしても反応はなし。私は今までのここでの努力を踏みにじられたような気がして我慢できませんでした。それから 1 週間ほどして私は退職しました。

今では、私の気持ちや想いが先走りすぎてしまったのが原因だったのだと考えていますが、あのとき社長がどういう部分をどのように努力し、どんな結果を出せば良かったのかを私に提示してくれていれば私は納得でき、まだその会社で頑張って働いていた可能性が高かったと思います。

この経験から、「努力次第で希望する仕事に就け、実力次第で昇級・昇進できる会社でないと人材は去ってしまう」ということを学び、 2 つめの“努力次第で希望する仕事に就け、実力次第で昇給・昇進ができる会社”というコンセプトが生まれました。

次に転職したのは、システム開発とは何の関係もない研修会社。起業のためには営業力も必要だと思い入社しました。完全歩合制に加えて営業未経験ということもあって、最初の 2 ヶ月間は結果を出せず給料はゼロ。 3 ヶ月目から結果が出始めましたが、嘘じゃなければ何でも良い、売ってしまえばどうでも良いという考え方の会社で、「 1. 常識を逸脱するような行為であったとしても上司には絶対服従」、「 2. 売れなきゃ親兄弟に買い取って貰え、それでもダメならお前が買え！」、「 3. 部下は生かさず殺さず極限まで追い込め」という掟もあったほど。社内のコミュニケーションも一方的で、まるで軍隊。私が在籍していた 1 年弱の間に精神的におかしくなって退職させられた人間が数名、結果が出せないと切り捨てられていった人間が数十名……。壮絶でした……。

この経験から、「風通しが悪く、社員を使い捨てにするような会社からは人が去ってしまう」ということを学び、 3 つめの“風通しが良く、アットホームな会社”というコンセプトが生まれました。

ただこの会社には、営業スキル、マネジメントスキルともに抜群のノウハウはそこかしこに落ちていたので、つらい生活に耐えながらも私はそれらを吸収していきました。

その後、この会社の関連会社を新設することとなり、私はそっちへ転籍することに。 2 名の役員と私の 3 名しかいなかったこともあり、最初は心を一つにしてがんばっていました。

ところが、それから数ヶ月、新しくもう 1 人社員が転籍してきたころから、社長の態度が少しおかしくなってきたのです。具体的には、上からものを言うような雰囲気です。

そして数ヶ月毎に 1 人、 2 人と社員が増え、 10 名を超える頃、私が退職を決意した一言をついに社長は言ってしまったのです。「お前らは、俺の言ったことだけ素直にやってりゃいいんだよ！」と。

前の会社は、社長とのコミュニケーションがうまく取れなくて退職したということもあり、創業当初の一体感も手伝ってこの社長にならついて行けるのでは、と思っていただけに、かなりショックな出来事でした……。

その発言を聞いてから半年後、私はその会社を辞め、有限会社インフィニット・フィールドを設立するに至りました。そして、 4 つめのコンセプトである“率先垂範を実践し、人を大切にする会社”を作ろうと思ったのです。

無限のフィールドを提供し、夢が実現できる会社へ――